Farmer's Talk Pop

(2018年12月末、はてなダイアリー「夢男のファーマーズ・トーク」を統合しました)

農の職業名・その後

以前、このブログで「農の職業名」について書きました*1。その後、夢男は自分の職業をなんて説明することにしたのか、ここに報告したいと思います。

「農家」「農民」「百姓」「ファーマー」「農業経営者」「農業者」「農業をやっている人」など、いろんな呼び方が考えられますが、自分の職業をなんて呼んだらいいのでしょうか。
結局、「普通の農家」と説明することにしました。ここで注意。ただの「農家」というだけじゃなくて、必ず「農家」の前に「普通の」をつけること。なんで、わざわざ「普通の」をつけるのか。「農家」といえば、普通に「農家」のことを意味するじゃないのか、そんなツッコミが入りそうです。でも、ただ「農家」と言ったんじゃ、夢男の言いたいことが伝わらない気がするのです。その伝えたいこととは・・・。

ここで、農業をしている人たちに対しての一般的な言い方、「農家」の定義を再確認します。『広辞苑(第二版)』では「農業を営む世帯」とあり、『新明解国語辞典(第五版)』では「農業を行う所帯」とあります。『英英農学用語辞典』では、"family farm = a farm unit which ideally supports one family "。いずれにしても洋の東西を問わず、「農家」とは専業・兼業を問わず「農業で食っている一家」ということだと理解できます。

現在、日本で農業を営んでいる農家は、ほとんどが兼業農家です。その中でも農業所得が主か従かで第1種兼業農家と第2種兼業農家に分かれます。それに対して、専業農家とは世帯員の中に兼業従事者が1人もいない農家のことです。つまり、専業か兼業かは農業収入の割合の違いということ。昔と今では、その構成に違いがあるでしょう。昔は専業農家が多かったはずです。戦後の経済成長とや米価の下落とともに出稼ぎや勤めにでる農家が多くなり、兼業化が進んだのでしょう。地域によって違いますが、夢男の住んでいる町では、専業農家は農家全体の7%ほどしかいません。*2
以前は、ただ単に農家といえば専業農家を指したのに、現在ではその割合から考えたら兼業農家にその地位を奪われたといえるのかもしれません。統計上はそんな状況です。ちなみに夢男の田舎では、兼業農家のことを「農家をしている」とは、あまり言いません。どちらかというと「父ちゃんが○○へ稼ぎに行きながら田んぼをしている」という言い方でしょうか。専業農家である夢男のことは「勤めを辞めてみんなでキュウリをしている」という言い方をされます。
話がそれましたが、結論として、農家の定義からすれば「もっとも農家らしい農家は、専業農家である」ということになります。

以前の記事を読んでもらうとわかるとおり、若かったときは呼び方(呼ばれ方)がすごく気になりました。なんだか、それこそ、すごく大事なことのような気がしていたのです。でも、年を取るにつれて(そんなに年を取っているわけではないのですが)、「農業って、なんだろう」と考えるようになってきて、大事なのは、見てくれではなく、その中身ではないのかと思うようになりました。つまり、虚栄を捨てなくては、と思えてきたのです。

農業も産業です。それにより得られるお金は大事です。お金がなくては快適な生活をできないこともまた事実です。でも、大事なのはそれだけじゃないとも思っています。利益優先の農業では、その最大の目的ともいえるお金が得られなかったとしたら、あとには何も残らないのでは、そんな思いがすごくあります。

夢男がいう「普通の農家」とは、「伝統的な生活も大事にしつつ、家族みんなで力を合わせて、他の仕事にはない農業ならではのメリットを最大限に活かして、デメリットも受け入れつつ、自分たちの食べるものは最低限自分たちで作り、自然と調和し、農業で生計を立てていく生活および人生」ということなのです。くどくど書くからこうなるけど、昔の農家はこれが普通だったと思います。
なぜ、「普通の」にこだわるか。それは現在、あまりにもごく普通に「家族農業」をしている農家がいなさすぎるからです。家族全員で農業に取り組んでいる農家は本当に少なくなりました。家族で「企業的農業」をしている人はたくさんいます。でも、聞いてみると、夢男が望んでいる農業とはかけ離れている人も多いのです。例えば、本業以外の作物(自家用野菜など)は全く作っていない(買った方が安いから)とか、農業をしているのは本人と雇い人だけで、奥さんは勤めていて全く手伝わない(興味がない)とか、伝統的な農家の年中行事はしていない(古くさいし面倒くさい)とか、お昼はコンビニの弁当だとか(農家なのに信じられない)、そのほかにもいろいろ。とにかく、すべてが経営優先なのです。そういうのは夢男にとって「普通の農家」ではないのです。そういうのを「普通の農家」と言いたくないのです。

でも、こんな夢男たちの「普通の農家」も「世間(の常識、価値観)」からすると「普通」じゃないらしいのです。夢男が(世間で言ういいお勤めの)国家公務員を辞めて農業に就いたこと自体「普通」じゃないらしいし、そこに横浜(すごくいい所)から嫁いで勤めにも出ないで家の仕事を手伝っている夢男の嫁さんが「普通」じゃないらしいし、いまどき4人子供がいることもかなり「普通」じゃないらしいし、4世代家族が同居なのも「普通」じゃないらしい。こんな「普通」じゃない夢男がいう「普通の農家」って、どういうこと。ああ〜、自分で書いてて訳が分からなくなってきた〜。もう、やめます。(笑)

これを読んだ皆さん、夢男が言いたいこと、少しでもおわかりになりましたか。もし、よくわかったのなら、きっと、あなたも世間で言う「普通」じゃないのでしょうね。でも、こんな風に思えることを、自分たちはなかなかだな、と思うことにしましょう。(どういう意味だ!?)(笑)

とにかく、夢男はこれからも「普通の農家」です。

*1:http://d.hatena.ne.jp/Yumeo/20000113

*2:夢男の住んでいる町は、稲作の兼業農家がほとんどである