Farmer's Talk Pop

(2018年12月末、はてなダイアリー「夢男のファーマーズ・トーク」を統合しました)

地下水のこと

見えない巨大水脈 地下水の科学―使えばすぐには戻らない「意外な希少資源」 (ブルーバックス)

見えない巨大水脈 地下水の科学―使えばすぐには戻らない「意外な希少資源」 (ブルーバックス)

うちのキュウリは地下水でできている、といっても間違いない。水田の転作畑で始まった露地キュウリの栽培は、水田と同じ水を使って育てていた。用水の水を池に溜めて、そこからポンプで汲み上げてマルチの中の灌水チューブに通していた。稲作は水が多く必要な時とそうでない時があるが、キュウリほど生育全般に渡って水が必要な野菜はない*1。夏の野菜であるキュウリ栽培には、不安定な用水ではなく、地下水が必要である、と気付いたのはビニールハウスを建ててからだった。それ以来、地下水なしではキュウリ栽培は考えられなくなった。
そんな目に見えない地中の水についてわかりやすく解説されたこの本は、これから農業を行なう上で考えさせるものがある。井戸のポンプは取水量が少なくなると、警告ランプがついて自動的に止まる。モーターは同じく回転しているはずなのに、水がいっぱい出る時と少ない時がある。ということは、地下には常にいっぱい水があるわけではなく、かなり少ない時もあるということだ。でも、それは絶対に見ることはできない地中50mの様子。
井戸を掘った時、井戸掘りの業者さんは、掘ってみないとわからないという。たとえ水が出たとしても、鉄分を多く含んだ「金気水(かなけみず)」だったら、作物栽培には使えない。井戸掘りは、ちょっとした賭けみたいなものだ。まわりの井戸は金気水が出たにも関わらず、うちの井戸は普通の地下水だった。それは深さの違いなのか、水脈が違うのか、日頃の行いがいいのか、ご先祖様が見ていてくれたからか、その理由は全くわからない。
そんな夢男の農業生活に欠かせない地下水を知る上で、この本はかなり参考になったのである。

*1:初期生育にはそれほど必要ではないが。