Farmer's Talk Pop

(2018年12月末、はてなダイアリー「夢男のファーマーズ・トーク」を統合しました)

せいめいのれきし

バージニア・リー・バートンといえば、『ちいさいおうち』(岩波書店)で有名な絵本作家。その彼女が書いた科学の絵本にであった。『せいめいのれきし―地球上にせいめいがうまれたときからいままでのおはなし (大型絵本)』(岩波書店)である。
せいめいのれきし―地球上にせいめいがうまれたときからいままでのおはなし
ちいさいおうち

『ちいさいおうち』では、静かな田舎にある"ちいさいおうち"が、都市化の波でのんびりした生活を送れなくなるが、最後にはまた自然がいっぱいの田舎に戻れるという"ほんわかした"世界を描いた。家が描かれているページは常に絵本の見開き右側。左側には物語と変わっていく風景がが丁寧に描かれている。色鮮やかだが落ち着いた感じのその絵には驚くべきところがある。描かれた自然や動物たち、人々の生活にものすごく躍動感があるのだ。ちいさなおうちを中心に箱庭的世界がとても素敵に思える。


この『せいめいのれきし』では、舞台は宇宙のすべて。文字どおり、物語は"舞台"上で進む。『ちいさいおうち』でおうちが描かれたおなじ見開き右側が劇場だ。「地球じょうに、せいめいがうまれたときから、いままでのおはなし」なのだ。プロローグで地球の成り立ち、1まくで古生代、2まく・中生代、3まく・新生代、4まく・現世、5まくでこのごろのひとびとの生活、そして、エピローグ。とでも、壮大なおはなし。でも、最後には自分自身となって収束する。とても、すばらしい絵本だ。子供向けだが、決して子供だけのものじゃない。科学的知識がいっぱい詰まっている。宇宙だの地球だの、日頃考えることのない大人にこそ、この本を読んでもらいたい気がする。ちなみに著者はこの本を完成させるのに8年かかったと解説にある。それだけ、科学考証に基づいているということだと思う。


夢男にとってうれしいのは、『ちいさいおうち』にしても『せいめいのれきし』にしても、自然の中に囲まれた暮らしが大事にされて描かれていること。
最近のニュースは某ネット企業の話題ばかりだが、正直、あまり理解できない。あまりにも自分とかけ離れた世界だからだ。その点、バージニア・リー・バートンの描く世界はよくわかる。ぜひ、うちの子供たちにも読んでもらいたい。


夢男は、昔もいまも大事なものは変わらない、ことを確信した。