Farmer's Talk Pop

(2018年12月末、はてなダイアリー「夢男のファーマーズ・トーク」を統合しました)

ここは雪の中

本格的な寒波で12月中旬にしてはめずらしく田んぼも畑も一面銀世界だ。もう50cmぐらい積もったのかな。雪が降る前に11月末までキュウリを栽培していたビニールハウスの中の片付けがなんとか終わったのでよかったが、そうでなかったら来年2月下旬から始まる新たな作付けに影響がでたところだ。危機一髪。つくづく農業は作業と天候の読みが重要だということを再確認。すべてが天気優先なのである。

しかし、天気優先だけで作業ができれば全く問題ないが、そこに学校や保育園行事、農業関連の会合などや地域の外作業などが加わるととたんに予定が変わる。問題なのは天候ではなくて、人間の方らしい。とはいっても、人間関係なしで世の中は成り立たないわけで、その辺のバランスをうまくやることが必要だ。農作業だけやれて他のめんどくさいこととは関係なく暮らしていけたらいいのに、とも思うこともあるが、それはそれ。いろんなことに家族全員で対処するのも農家生活でもある。

雪が降ると真っ白になって、何もが見えなくなってしまう。見えなくなってしまうと言っても無くなったわけではないので、雪が降る前にあった形はそこに残っている。必要なものもいらないものも同じように見えなくなってしまうので、いつも、雪が降ると何もかにもきれいになったと思ってしまう。春になって雪解けになると片付け忘れたものが解けてきたなくなった茶色の雪の中から出てきて、やっぱりな、と思う。

大雪は何もしないと家や小屋、ビニールハウスをつぶしてしまう、寒くて冷たいイメージの雪だが、いいこともある。雪だるまやそりすべり、雪合戦やスキー。子供たちを楽しませてくれる。あれだけ忙しかった夏の生活だったのに雪が降っただけで、何をしてもしかたがないから、と夢男たちをあきらめされてくれる。雪は家族団らんを提供してくれる自然の心遣いなのだ。「ご苦労様。一年みんなでよくがんばったね」 そんな風に都合よく解釈する。だからやってられるんだろう、とも思う。

雪が降ってなにもかも隠してくれるが、その下には何十年変わらない土がある。見えているときは気づかない。見えなくなるととたんに大事にしたくなる。ゆっくり休んで、と土に言いたい。

農家にとっては冬は、必ず来る春に向けて、これからも農業を続けていく気になるために絶対必要な季節である。雪が降らない地方もあるが、ここは降る。誰にも止められないし、変えられない。ただそれだけ。

なんだ、人間が変わるしかないんじゃないか。本当は簡単なことだ。