Farmer's Talk Pop

(2018年12月末、はてなダイアリー「夢男のファーマーズ・トーク」を統合しました)

パーフェクトワールド

BS録画(初見)、☆4

クリント・イーストウッド監督、ケビン・コスナーが珍しく悪役の主演作品。
刑務所から脱獄したブッチ(ケビン・コスナー)は、相棒と民家に押し入り、8歳のフィリップ少年を人質に取る。途中、いざこざで相棒を殺すことになるが、人質であるフィリップとは気が合うブッチ。自分の少年時代を思い出しつつ、少しずつ心がふれあい、二人の逃避行は続く。追ってくるのは、警察署長のクリント・イーストウッド。彼はかつてブッチが犯した罪に関係があるらしい。そんな中、ブッチとフィリップ少年はある農場にたどり着く。そこで起こった出来事が二人の運命を左右する…。

男ならば、心揺さぶられる映画。あのケビン・コスナーだから、絶対に極悪人にはなれないと思って観始めたが、やはり案の定。だが、コスナーのセリフなしで黙っていても少年への想いあふれる演技は、まさに誠実俳優らしいと思った。二人の逃避行の暗雲を想像して観ていて落ち着かなかったが、父性をブッチに求めるフィリップ少年の気持ち、自分の父への想いを少年に投影するブッチの気持ちがひしひしと伝わり、男の子の父でもある私の気持ちを揺れ動かす。
イーストウッドは相変らず、芯のある男を演じている。決して自分だけが目立つことなく。意外によかったのがローラ・ダーン。男社会の現場で奮闘する若き女性犯罪学者を演じている。
この映画は犯罪者の逃避行ものだが、「テルマ&ルイーズ」のハーベイ・カイテルや「逃亡者」のトミー・リー・ジョーンズにも通じる、追う側の思慮深さ*1というものにもスポットが当てられた映画。
ケビン・コスナーとフィリップ少年。コスナーとイーストウッド。全編にわたって父と息子の関係を考えさせられる映画でもある。アラスカの絵はがきのエピソードが、何とも切ない…。

パーフェクト ワールド [DVD]

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*1:砂の器」の丹波哲郎もそうだった…