Farmer's Talk Pop

(2018年12月末、はてなダイアリー「夢男のファーマーズ・トーク」を統合しました)

妹の恋人

NHK-BS録画(初見)、☆4

ジョニー・デップメアリー・スチュアート・マスターソン主演のハートフル・コメディ。
自動車整備工のベニー(エイダン・クイン)は妹のジューン(メアリー・スチュアート・マスターソン)と二人暮らし。二人が子供の頃、両親を交通事故で亡くし、そのショックでジューンは心の病気になってしまったのだった。妹の世話のために自分のプライベートを犠牲にするベニー。そんな兄妹二人の生活に文字の書けない青年サム(ジョニー・デップ)が加わる。パントマイムの才能のあるサムに心惹かれるジューン。そして、あるとき二人の間に…。

全く予備知識なしでの鑑賞。心温まる映画はいろいろあるが、ほんとに気持ちよく、心が温まった映画はそうはない。でも、この映画はほんとにそう。だって、みんな、いい人なんだもの。

子供の親である自分と嫁さんは、観ているとどうしてもこの兄妹を自分たちの子供のように思ってしまう。子供たちの先行きが心配で心配…。病気の妹を愛する親代わりの兄。兄には恋人を作って欲しいし、妹も安心して生活をして欲しくも思う。だが、心配しつつも、いい人ばかりのこの映画は安心して観ていられた。
そんな映画の雰囲気を作ったのは、サーカス調というか、ウォーレン・ベイティ主演「天国からきたチャンピオン」風な音楽と共に登場のジョニー・デップの演技。彼が出てくるとほのぼのとした音楽が流れるのだ。パントマイムを演じるその姿を見て、それまでの兄との生活にはなかった微笑みのメアリー・スチュアート・マスターソンがまた素敵。素敵といえば、女優の夢破れたウェイトレスのルーシー役のジュリアン・ムーアも。妹のことで彼女こそいないが、実は女性にもてるベニーはルーシーが気になる。普通だとここでベタベタのラブシーンになりそうだけど、そうはならずに実に素っ気ないのがこの映画のいいところ。それでも充分、想いは伝わるのだ。
ジュリアン・ムーアといえば、その姿を始めて観た映画が「ブギーナイツ」だし、それから「ハンニバル」「エボリューション」ということで、なんかゲテモノ映画女優の印象があったのだが、先日観た「めぐり会う時間たち」といい、この映画といい、感情を微妙な表情で表すのが上手な女優さんだと思ったのだった。
twitterでこの映画のことをつぶやいたら、デップ作品ではこの映画が一番だそうな。二番目はというと同じ年の前作「ギルバート・グレイプ」。これもBS録画しているので観よう。
そんなわけで、地味な作品ながら絶妙な配役の「妹の恋人」は掘り出し物の映画だったのだ。