Farmer's Talk Pop

(2018年12月末、はてなダイアリー「夢男のファーマーズ・トーク」を統合しました)

恋する宇宙

Apple TV(初見)、☆3

先日の「(500)日のサマー」が思いもよらずハートウォーミングなラブストーリーだったので、もう一度とベタなタイトルの中から選んだのがこの映画。サンダンス映画祭で賞を取った映画のよう。なぜか、日本では劇場未公開の映画だったらしい。何でだろうと思いつつ観始める。

主人公のアダム(ヒュー・ダンシー)はあるおもちゃメーカーに勤める物静かな青年。天文学に詳しい。実はアスペルガー症候群なのだ。最近、父を亡くしたばかりの彼のアパートに絵本作家を志すベス(ローズ・バーン)という女性が引っ越してくる。失恋したばかりのベス。次第に風変わりで心優しい彼に心惹かれる。自然につきあいだした二人にある出来事が起こり、二人の運命を左右することに…。

アパートの落ち着いた感じのインテリア。二人の服装もシンプル。落ち着いたトーンで映画は進行する。二人の関係も少しずつ少しずつ近くなってくる。いい感じ、いい感じと物語が進むにつれて「ベタ」への期待も高まる。主役も「スリーピング・ディクショナリー」のヒュー・ダンシーなんだから、きっと「ベタ」に僕たちの心を温めて終わってくれるだろうと…。ところがだ、期待は裏切られたのだ。

ネタバレは嫌いなので、またもやこれ以上は書けないが、ある意味、現実的な温まり方でこの映画は終わる。ここで結末を観客に振るかと思った。冒頭のベスのナレーションでサン=テグジュペリの「星の王子さま」が語られるが、この映画はある意味「それ的」でもある。病気や不遇を同情的に扱った映画は嫌いだし、観たくもない。だが、ベタな恋愛映画としては僕たちを裏切ってくれたこの映画は、現実的にアスペルガー症候群のアダムに「優しい」映画だったと見終わって思う。
天体について子供たちに説明するアダムのジョーク。荷物運びを手伝うアダム。彼は確実に成長したのだ。「ベタ」じゃないラストだからといってがっかりすることはないのだ。映画に続きがあるとすれば、物語は続いているはず…。
ベスの母親役がエイミー・アーヴィング。「キャリー」でシシー・スペイセク演じるキャリーの友人役だった彼女。久しぶりに見た彼女もまた、いい感じで年を取っていたのが印象的…。