Farmer's Talk Pop

(2018年12月末、はてなダイアリー「夢男のファーマーズ・トーク」を統合しました)

英国ミステリー「風」

昔はテレビの洋画劇場で海外ミステリーものをよくやっていたが最近はない。アガサ・クリスティー作品とか。「オリエント急行殺人事件」「ナイル殺人事件」などオールスターキャスト作品だ。今回はそんな伝統的なミステリー映画を久しぶりに見ることにした。というか、見ようとしたはずだった。
DVDレンタルで選んだこの作品は予備知識なしで見始めたので、なんだか訳がわからない。お屋敷、大勢の登場人物、晩餐会と出そろって、見始めたのは夜中だったこともあって、始まって30分ちょっとで寝てしまった。起きたとき、まだ事件は始まらない。サスペンスじゃなくてミステリーだから、本題が始まるまで準備に時間がかかるのだ。仕切り直し。
さて二晩目。もう一度最初から見る。二度目だから顔と名前はある程度、頭に入っている。お屋敷に賓客が集まってそれぞれの状況がわかったところから、がぜんおもしろくなってきた。ところがだ、どうもいつもと様子が違う。ミステリー臭くないのだ。賓客たち「階上」の人々、召使いたち「階下の人々」の断片的な会話ばかり。場面は次々に変わる。そんな意味では目を離せない。事件が起こって、あれ、これで終わり・・・。
登場人物はたくさん出てくるが、一人一人の登場シーンは少ない。その中でもマギー・スミスヘレン・ミレン、クリスティーン・スコット・トーマス、エミリー・ワトソン、女優陣の存在感。召使い役だとしても華やか。マギー・スミス演じるトレンサム伯爵夫人が召使いのメアリー(ケリー・マクドナルド)と共に車でお屋敷に来る場面と帰る場面。音楽から考えるに、この映画は人間ドラマだね。そうしてみると納得がいく。アガサ・クリスティー作品の映画がポワロ探偵の謎解きの方が主になって、もっと見たいはずの人間ドラマが薄いことを考えると、「ゴスフォード・パーク」のようなアプローチもありと思ってしまう。見落としている細かいところが、重要な部品*1のような気がしてきた。もう一度見ないと・・・。

*1:イギリス映画ならではのTipsはこちら。http://britannia.cool.ne.jp/cinema/title/gosford_park.html