Farmer's Talk Pop

(2018年12月末、はてなダイアリー「夢男のファーマーズ・トーク」を統合しました)

霧の中の風景 -No.10 -p769

BS録画(初見)、☆2(名作なのだろうが、どうしても許せないシーンがあって…)

ギリシャテオ・アンゲロプロス監督作品。アテネから姉弟が列車に乗る。12才のヴーラと5才のアレクサンドロス。ドイツにいるという父の元に行くためだ。子供のみ、かつ無賃乗車であり、列車から降ろされる。そして父はドイツにはいないらしいことがわかる…。なぜ、母親から離れてまで列車に乗り、否定されてもドイツに父がいると信じ続けるのか。二人の困難な旅はさらに続く…。そして…。
現実と幻想が交差するような静かな映画。子供たちの旅の理由ははっきりとは語られないが、今の生活が不幸せであることが感じられる。二人の姉弟の旅が微笑ましくもあり、痛々しい。旅の途中、出会う人たち。唐突に、雪が降る街を皆が見上げる場面、巨大な手が海中から引き上げられる場面が出てくる。でも、最も印象深いのは雨の中を姉弟が歩き続ける場面だ。
幼い姉弟が主人公の映画だから、観ていてどうしても幸せな展開を期待してしまう。でも、それは見事に裏切られる。二人に試練を与えるのだ。それが観てられないぐらいとても切ない。名作と誉れ高い作品のようだが、それはわかる気がする。でも、☆を2つしか付けられない。試練というにはあまりにも過酷なエピソードが、自分はどうしても許せなかったからだ。間違いなく、嫌いな映画の仲間入り…。

ヴーラと旅芸人オレステのあいだにだけ、かろうじて感情のやり取りが見える。しかし立ち止まった子供たちは再び果てしない道を下っていき、カメラが空高くもちあげられると、オレステは誰にともなく2回手を振る。(AM)(『死ぬまでに観たい映画1001本』)