Farmer's Talk Pop

(2018年12月末、はてなダイアリー「夢男のファーマーズ・トーク」を統合しました)

ネバーランド

BS録画(初見)、☆5

予備知識なしの鑑賞。涙、涙…。素晴らしい映画。これぞ映画(また、言っちゃった…)。
舞台の脚本を書いているバリーの仕事は絶不調。夫婦間にひびが入りつつもある。そんな時、出会ったのがデイヴィス家の皆。母親のシルヴィアには4人の息子がいる。この子供の中でバリーが気になるのは三男のピーター。父親を早く亡くしたせいでちょっと子供らしくない子供…。出会ってバリーは、毎日この家族と過ごすことで、新しい物語が書けるようになってきたのだった。そんな彼を怪訝に思う妻。そしてシルヴィアの母、デュ・モーリエ夫人。そんな中、思わぬことが…。
「ピーター・パン」の原作者、劇作家ジェームス・マシュー・バリーがいかにして物語を書いたのか、その「ピーター・パン」を完成させるまでのお話。これは実話だという。
バリー役のジョニー・デップは文句なく素晴らしい。彼が出会うデイヴィス家のシルヴィア、ケイト・ウィンスレットも愛情深い素敵な母さん。はまってる。
三男はフレディ・ハイモア。「チャーリーとチョコレート工場」「アーサーとミニモイの不思議な国」の彼だ。この彼がこれまたすばらしい演技。「チャーリー…」では演技上手さが目立っているが、この映画では、演技というかその感情表現が自然すぎて、もう演技とはいえないレベル…。
バリー夫人役はラダ・ミッチェル。異色SF映画「ピッチ・ブラック」で未知の惑星で怪物から逃れる宇宙飛行士、勇敢なあの彼女だ。ここでは夫を全く理解せずに心が離れつつある妻の役を好演。皆いい人ばかりのこの映画で重要な悪役ともいえる。ダスティン・ホフマンはあたりまえにすごい。ピーター・パン搦みで、大人になったピーター・パンを描いたファンタジー映画「フック」でフック船長を演じていたことを思いだした。
思わぬベテラン女優を発見。シルヴィアの母、デュ・モーリエ夫人を演じているのはジュリー・クリスティ。あの綺麗な人が年取ったのだ…。「華氏451」や「赤い影」「天国から来たチャンピオン」の演技が心に残る。劇中劇の「ピーター・パン」を演じている女優さんも印象深い。誰かと思ったら、「ゴスフォード・パーク」のケリー・マクドナルド*1。シルヴィアのために家で「ピーター・パン」を演じて、皆に問う。「妖精を信じますか?」。いち早く拍手するクリスティが素敵。

この映画は父親であるならば、母親であるならば、涙なしには観られない映画。仕事がうまくいってないならば、きっと何かが足りない。足りないものはこの映画の中にある。そんなことを思わせてくれる映画。
劇中、バリーのファンの老婦人の言葉。
「すべては"チクタクワニ"のなすがまま。時間が私たちを追いかけている。」
そう、人生は限りあるものなのだ。

ネバーランド [Blu-ray]

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*1:「ノー・カントリー」の妻役だったなんて、観たのに気付かなかった…