Farmer's Talk Pop

(2018年12月末、はてなダイアリー「夢男のファーマーズ・トーク」を統合しました)

イランについてのいくつか

イラン出身のマルジャン・サトラピの自伝的漫画『ペルセポリス』を読む。イランでの少女時代の第一巻とオーストリアへの留学後の第二巻。複雑で分かりにくい歴史、アジアの西の国イラン。著者の育った環境は、イランの中でも金銭的に恵まれたもの。だが、そうではあっても、困難な状況の中で子供の目から見た自分の国を正直に描いている(と思う)。私のような中東の情勢に詳しくない者にも、イランという国がどういうところか、その一端に触れることができる本。
完全なモノクロのグレー部分のないハッキリした絵は、同じく激動の時代を描いたアート・スピーゲルマンの『マウス』を思い出させる。残酷なエピソードを淡々と語るには、シンプルな絵の世界は効果的かも。それゆえに深く心に残る。少女マルジの空港での両親との別れ。異国での望郷の念。置かれた状況は状況は全く違うとはいえ、青春時代のエピソードには、読んでいて「そうそう」と思えることが多かった。国は違っても、立場は違っても、同じ年ごろの人間が出会う問題は似ているところもあるのだ。そんな意味で、いずれ、娘に読んでもらいたい本の一つとなった。
読んでから思い出した。定期購読してる『ナショナル・ジオグラフィック』誌の2008年8月号の特集が「イランに息づくペルシャの魂」。世界遺産にもなっているペルセポリスなど、遺跡の写真が満載。あらためて記事を読むと漫画『ペルセポリス』への理解がさらに深まった。
そうそう、先月この漫画のアニメ映画がDVDで発売されたようだ。ぜひ観たい!

ペルセポリスI イランの少女マルジ

ペルセポリスI イランの少女マルジ

ペルセポリスII マルジ、故郷に帰る

ペルセポリスII マルジ、故郷に帰る

ペルセポリス [DVD]

ペルセポリス [DVD]