Farmer's Talk Pop

(2018年12月末、はてなダイアリー「夢男のファーマーズ・トーク」を統合しました)

「月」絡みで・・・

タイトルに「月」がついた本の読書ついでに「月」のつく映画を観る。それはシェールの「月の輝く夜に」。学生時代に富山で観た映画。たしか、総曲輪(そうがわ)通りの映画館。「ロボコップ」と同時上映だったような気もするのだが、定かではない。気になって気になって、なんだか気持ちが悪い。誰と行ったのかも、思い出したいような、思い出したくないような。(笑)
そんなことはともかく、20年以上経ってこの映画を観て、この映画がこんなに面白いと思うとは・・・。観た当時はつまらないと思ったのに・・・。
夫を亡くして7年になるシェール演じるロレッタは37歳。当時20歳の夢男から見ると登場人物はみんな年寄りに見えた。唯一若い登場人物が、シェールに求婚する男のニコラス・ケイジ。まだ、頭は薄くなってないし本当に若い。が、この弟が未亡人に惚れちゃったなんて、ちょっとありえないと思ってた。その後の満月の夜、家族に起こる出来事にしたって、いい年こいて、なんて思ってたのだ。
ところがいま観ると、なんていい感じ、と思ったのである。白髪交じりの前髪のロレッタ。ケイジ演じるロニーにオペラに誘われる。とまどいながらもお出かけの準備をするロレッタ。美容院に行って髪を染めて髪型を変えたらあら不思議。ただのおばちゃんが美人に大変身。美容師たちがロレッタが髪を染めるといったときの喜びようったら、こっちまでワクワクしてくる。変身したロレッタを見て、道端の男も振り返る。オペラハウスの噴水の前で待つロニー。不精ひげは何処へやら。これまた、いい男に変身。とにかく、いい感じの2人なのである。
満月の夜は危険。ロレッタの父と愛人とのオペラ・デートに鉢合わせ。夫の浮気をうすうす感じてる母親はレストランでちょっとした恋心を・・・。叔父叔母は年甲斐もなく、やる気満々。そんな満月に惑わされた家族たちは、20歳の夢男にはちょっと理解不能な世界だった。
ときめき、恋人、夫婦、親子、家族、生活、喜びと悲しみ、そして人生。どれも忘れてならないキーワード。いぬの散歩が生きがいのようなロレッタの祖父が息子である父を台所で叱るシーンがいい。年とっても子供は子供、親は親。ロレッタはこの家族にとっては永遠に子供なのだ。荒唐無稽なドロドロもそんな「家族」に包有されていく。
ロレッタとロニーの恋。親たちもそうして始まり、現在に至ったのである。エンディングの家族写真が印象的。こうして「家族」というものはどんどん続いていく。
どうもこれは大人の映画だったのである。41歳の今、そのどれもが理解できるような年になってしまった。観るのが20年早かったのだった。それもまたしょうがない。