Farmer's Talk Pop

(2018年12月末、はてなダイアリー「夢男のファーマーズ・トーク」を統合しました)

思いがけないこと

 情けない。なんで情けないかというと、実は夢男はぎっくり腰になったのだ。キュウリの播種に備えて、冬の間、放置していた育苗用のビニールハウスの片付けをした後、播種用の土の袋を一輪車で運んだ。最後の2袋を降ろせば終了というときに、あろうことかそれを中腰で足を伸ばしたまま持ち上げ、そして降ろそうとして腰をひねってしまった。「キクッ」という音が聞こえた感じがして、ああ、やってしまったと思った。あとで「家庭の医学」を見てみると典型的な腰を痛める動作をしてしまったようだ。毎年春先の作業では、それまでの冬期間仕事を休んでいることもあり、こうならないよう注意していたのに。そろりそろりとなんとか歩いて家まで戻り、家の2階の寝室へ。根拠もなく、起きたら治っていることを期待して・・・。ぐっすり眠って次の朝起きたら、起きあがれない。噂には聞いていたぎっくり腰になってしまったようだ。動けないならしょうがない。安静にするしかないようだ。幸い、仕事はまた忙しくない。熱があるわけでもなく、寝ていてもやることがないので、腹を据えて、読んでなかった本を読むことにした。



・第1日目
 「スモール・ワールド」 ダビサ・キング著 扶桑社ミステリー文庫(絶版)
  夢男の評価  ★★★★☆

 あのベストセラー作家、スティーブン・キングの奥方の作品。まだ無名のキングを励まし、ごみ箱に捨てた原稿を出版社に送り、その名前が世に出るきっかけとなった、いわゆる内助の功っていうやつですね。
 「アンネの日記」(文春文庫)などを手がけた翻訳家の深町眞理子さんのエッセイ「翻訳者の仕事部屋」(飛鳥新社)でこの「スモール・ワールド」が紹介されているのを見て、無性に読みたくなったのだ。(エッセイの中の翻訳作品リストを見て、実は深町さんの翻訳本は知らず知らずのうち何冊か読んでいるのを知った。「翻訳者の仕事部屋」には、翻訳の How To も書かれていて、翻訳家を目指す人はもちろん、それ以外に翻訳小説が好きな人も十分楽しめる。)

 「スモール・ワールド」を購入しようとオンラインブックサイトで検索してみたら、この本はすでに絶版になっていた。中古本を扱う「イーブックオフ」で探したら1冊ある。後で注文しようといったん接続を切り、しばらくしてから再度アクセスしたときには後の祭り。誰かに買われてしまったのである(号泣)。その後、古本屋や他の中古本サイトで探しても見つからなかった。
 再び探し当てたのが、つい先日。なんと、1年間見つからなかったのだ。とにかく、なんでも見つけたときにはすぐ買わないとだめですね。

 そして肝心のストーリーです。
 大統領令嬢のドロシーは「ドールハウス」(家具などのアンティークもそのままに本物そっくりに小さくしたリカちゃんハウスの高級版らしい)の熱心なコレクター。特にお気に入りなのがかつてそこに住んでいたホワイトハウスドールハウス。ある時、「ミニマイザー(縮小機)」(その名の通り、物体を縮小するカメラ)を発明したロジャーという男が現れる。そして、まきおこる事件。その結末は・・・。

 なお、「スモール・ワールド」は夢男が「復刊ドットコム」(http://www.fukkan.com/)にて復刊リクエストしています。一応、100票集まったら出版社に復刊交渉するようなので、読みたい場合は、こちらに投票するのもひとつの方法かと思います。あとは足で古本屋を探すしかありませんね。
 

・第2日目
 「ハンニバル(上・下)」 トマス・ハリス著 新潮文庫
  夢男の評価  ★★★☆☆

 ご存じ「羊たちの沈黙」の続編。何年か前に話題になったベストセラー。そのとき読もうと購入したが、その映画化にあたって、主人公クラリス役を前作でも演じたジョディ・フォスターが降りたと聞いてがっかりし、読まずにいたのだ。読んで彼女がこの役を演じたくなかった理由がわかった気がした。それくらい衝撃的結末です。


・第3日目
 「メイキング・ラブ」 リチャード・ローズ著 文芸春秋(絶版)
  夢男の評価  ★★★★☆

 「死の病原体プリオン」の著者が自分の性体験そのままをあからさまに書いている。ここまで書くのかと、読んでびっくり。でも、まじめに書かれています。


・第4日目
 「セブン・イヤーズ・イン・チベット」 ハインリヒ・ヒラー著 角川文庫
  夢男の評価  ★★★★☆

 捕虜収容所から脱走した著者のチベットでの7年間の記録。自然の中で人々が生きる信仰の国での著者の新鮮な感動が伝わる。ブラット・ピット主演の同名映画もおすすめです。


・第5日目
 「草の根」 ジェームス・ウッズ著 文芸春秋
  夢男の評価  ★★★☆☆

 弁護士である主人公がアメリカ合衆国上院議員を目指す。南部のジョージア州を舞台に事件、裁判、選挙が複雑に絡み合う。この作家の小説には、アメリカ探偵小説作家クラブ(MWA)最優秀処女長編賞受賞作品の「警察署長」のキャラクターが登場する小説(主役、脇役問わず。シリーズではない)が何冊かあり、ファンの夢をとしてはすごく楽しめる。たとえば、今回読んだ「草の根」の主人公は、「警察署長」の初代警察署長の孫、といったように。



 やっと4日目頃から少しずつ歩けるようになった。それまでは寝返りをうつと激痛だった。トイレも這っていった。本当に仕事が忙しい時期でなくてよかった。あと、育苗などが始まる何週間かあとだったら、今年の栽培や収穫に大きな影響があったかもしれないと考えると怖くなる。嫁さんにはもちろん、同居している両親にはいろいろと助けてもらった。ありがたい。これが家族農業のいい点でしょうか。こういうことがあって、つくづく一人では農業はできないなと思った。サラリーマンであれば、仕事ができない状況になってもいろいろと福利厚生の面で恩恵もあるが(すべてがそうだともいいきれないだろうが)、農業では収入に直結してしまう。どんな仕事でもそうだが、とにかく健康が一番大事。痛感しました。