Farmer's Talk Pop

(2018年12月末、はてなダイアリー「夢男のファーマーズ・トーク」を統合しました)

大スクリーンで『ウエスト・サイド物語』 見た

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ウエスト・サイド物語

午前十時の映画祭10にて、☆5

紹介する必要がないほど有名で素晴らしいミュージカル映画。この映画を知らない人はまず見ろ!話はそれからだ。

10年前から全国いくつかの映画館で「午前十時の映画祭」という昔の名画をスクリーンで上映する企画が続けられている。いつかいつか行こうと思っているうちに来年の3月で終わりになるそうだ。いいものはいつまでも続かないのだ…。夏にこのことを知り、この農閑期は絶対に見ようと決意した収穫後半、秋の終わり。

行ってきましたとも!お目当ての『ウエスト・サイド物語』は今日が最終日。なんとか間に合いました。朝の雑用をパッバと片づけて映画館に向かう。新作の映画に向かうのとも何となく違うわくわく感。映画館には子供たちがいっぱい。『アナ雪2』狙いのようだ。『ウエスト・サイド物語』上映のスクリーンには割といいお年のお父さんとお母さんが10人ほど。もち僕たちは最年少。彼らはきっと青春時代に見たのかなあ。

何度もテレビで見た映画なのだけど、ソール・バスのデザイン、バースタインのこの“Overture”が始まったら震えた。空撮も大画面では素晴らしすぎますね。

https://youtu.be/dOCo3bRnc1M

1961 West Side Story Overture

バースタインの音楽の素晴らしさ。群舞の華麗さ。その迫力。ナタリー・ウッドの可愛さ。何も言えねえ。
えっ、見てないって!? まずは『ウエスト・サイド物語』見ろ!
話はそれからだ。

十代の若者たちのドラマにシェイクスピア劇を取り入れた先駆的作品。映画界の流行を何十年も前に先取りしている(KN)

『死ぬまでに観たい映画1001本』p403

『アメリカン・ラプソディ』

アメリカン・ラプソディ [DVD]

DVD、☆4

スカーレット・ヨハンソン主演、エヴァ・ガルドス監督の実体験*1を基に作られた映画。冷戦当時のハンガリーアメリカに亡命途中の一家。一人の赤ん坊(ヨハンソン)がハンガリーに取り残される。アメリカに住む実の家族との再会。少女の成長と苦悩を描いた秀作。日本劇場未公開。

初めに言っておこう。スカーレット・ヨハンソンが大好きと書くと僕がロリコンかグラマー好きかと勘違いされそうだけど、それは違うと声を大にして言いたい。彼女は今やハリウッドきっての大スターで、グラマー女優でありながら演技派でもある。マーベルの『アベンジャーズ』シリーズは彼女があってこそだとここでも声を大にして言う(しつこい)。つまり大ファンだということだ(笑)

彼女を知ったのは、ロバート・レッドフォードの『モンタナの風に抱かれて』で、馬から落ちて足が不自由になった傷心の少女を素晴らしく上手く演じている。一見、表情からは内面がわかりづらいかと思いきや、その演技は繊細そのもの。まだうちの娘が小さかったのでまるで自分の娘が大きくなった時のことを想像した。で、そのあとウディ・アレン『マッチポイント』で衝撃を受けて『ブーリン家の姉妹』で衝撃のさらなる駄目押し。少女が大人になるということを思い知らされたのだ。うちの娘もいつか…。がーん。

ワゴンセールかなんかで買ってた『アメリカン・ラプソディ』だけど、ずっとそのままだったのを今ごろ観る。予備知識なしで観たのだけど本当に地味な作品。母親役があのナスターシャ・キンスキーということも途中で気付いたぐらい。キンスキーといえば、『テス』『キャットピープル』の印象が強いけど、この映画ではごく普通の母親役に徹している。ヨハンソンは再会した家族との慣れない生活、多感な思春期の少女を丁寧に演じている。『モンタナの風に抱かれて』のちょっと後の作品で、演技で成長がよくわかる。今ではハリウッドのトップスターだもんね。

この作品ももっと前に見ていれば、生き方を親の都合によって翻弄される主人公の少女側の気持ちになって見れたろうが、またもやキンスキーら演じる、実の親の側、あるいはハンガリーの育ての親の気持ちが「痛いほど」分かってしまうのだ。娘を持つ親にはほんとヤバい作品なの…。(泣)

*1:インタビューによると、『地獄の黙示録』のアシスタントを務めていた時、プレイボーイ誌の慰問シーンのモデルを演じたコリーン・キャンプが「映画にするべき」と言って、製作と脚本共力を引き受けてくれたとのこと。

『道』

道 Blu-ray

BSプレミアム、☆4.5

珠玉の名作で有名なフェデリコ・フェリーニ監督の作品。オールタイムベストテンの常連だけど、最近フランス映画とか昔の映画をいろいろ見てて、その流れでようやく見る。フェリーニ監督の作品は『サテリコン』『甘い生活』、そしてこの『道』の順で見ているので、あとは『8 1/2』といったところか。

この映画は、ちょっと頭の弱いジェルソミーナと粗暴なザンパノという大道芸人の旅である。この頃はロードムービーとは呼ばないのだろうが、そういう感じであるから、見始めたらこれはいけないやつだと警戒してた。案の定、予想は当たり、最後は土砂降りになったというわけなのだ。 僕たちを泣かせたのは、ジェルソミーナ。その純粋さにははらはらしてしまう。もうちょっと若い頃に見たのなら見方も変わるのだろうが、今となっては僕たちはジェルソミーナの親の気持ちなのがとてもまずかった。悲しみと感動の5割増し増しなのだ。ニーノ・ロータ作曲の“Gelsomina”をは感動のトッピングだ。二度目をためらう映画というのは何本かあるけど、この映画も仲間入りなのだ。


LA STRADA


『道』はアカデミー外国語映画賞を受賞し、フェリーニの中では最も親しみやすく愛されている映画だ。とはいっても、この複雑な感動作は何度見ても、その度に新たな洞察や考えが生まれるという点は、専門家ぶったインテリ諸氏にも異論はないだろう。(RH)

『死ぬまでに観たい映画1001本』p303