Farmer's Talk Pop

(2018年12月末、はてなダイアリー「夢男のファーマーズ・トーク」を統合しました)

「ゴッドファーザー」と家族

昨晩、テレビの洋画劇場でやってたのが「ハリー・ポッター」(シリーズのどれだったかは思えていない)と「タイタニック」。どちらも大ヒット作なのだが「ハリー」は全く趣味じゃないし、「タイタニック」は飽きるほど観たし・・・。ということで、DVD「ゴッドファーザー」を観た。

あのニーノ・ロータのテーマ曲が流れると、嫌でもこの映画で描かれる裏世界に引き込まれてしまう。血なまぐさい映像もある半面、その実、この映画は本当の「家族愛」の映画なのだ。
この映画を中学生の時に観た時は、アル・パチーノ演じるコルレオーネ家の三男マイケルの気持ちになってたが、今回観たら、ドン・コルレオーネに完全に感情移入してしまってた。かつて、マフィアを嫌い、かたぎの人間として生きてたマイケルと、家の農業をどうするか考え始めてた中学生の自分を重ね合わせていたのだった。親となった今は、完全に夢男家の農業のこれからをどうするかのマーロン・ブランド的心境。
ちょっと頼りない長男、ジェームズ・カーン。同じく頼りない次男、ジョン・カザール。結婚したばかりなのに夫婦仲が心配な末娘のタリア・シャイア。結婚式に葬式。洗礼式。なにかあれば一族大集合。血族としての「ファミリー」の重要性。そして後継者としての三男アル・パチーノ。そして究めつけは家長ドン・コルレオーネの言葉「家庭を大切にしないやつは男じゃない」。家長は家族に対して考えなくてはならないことがあまりにも多いのだ。どこを切っても田舎的「家族愛」が出てくる金太郎アメのような映画「ゴッドファーザー」。これから子供たちを巣立てならなくてならない夢男としてはかなり参考になる(ほんと?)(笑)。
孫と遊んでいて他界するドン・コルレオーネ。ぼろぼろと涙が出てきてしまった。「タイタニック」を観たときもそうだったのだが、ジャックとの別れのシーンより、年老いたローズが回想している、出演者大集合のタイタニックの大階段のシーンとか、生き残ったローズの女優としての人生を表していた写真立てのシーンのほうに自分の涙のツボがあるようだ。どうやら無意識に、人生を終わりを無事迎えること、つまりお年寄りが出てくる方に感動の重点をおいているらしい。Uターン就農してから6年目に祖父を亡くしてから特にその傾向が強まった気がする。8人兄弟の長男だったうちのじいちゃんはある意味、ドン・夢男家。その祖父が去ってから、だんだんと弟妹が亡くなり、現在健在なのは弟3人。祖父が亡くなったことで夢男家の一つの時代が終わったのだった。

同じように何十年後には父も亡くなるだろう。そしてまた自分自身も。残っていくのは、自分の子供たち。そしてまだ見ぬ子孫たち。ただ普通に生活して、普通に人生を全うして普通に死ぬ。それでも誰かが残っていくということは、本当はすごく大変なことなのだ。だから「家族」を賛美している「ゴッドファーザー」は、マフィアという特殊な家族を描くことで、普通に家族が続いていく難しさを描いているのではないかと思ったのであった。
最後に、ある映画解説本の「ゴッドファーザー」の項にこうあった。

「どんなに血と野望に呪われていても、家族をもたないよりはいいと実感させる」
(『死ぬまでに観たい映画1001本』(ネコ・パブリッシング)より)