Farmer's Talk Pop

(2018年12月末、はてなダイアリー「夢男のファーマーズ・トーク」を統合しました)

新聞記事スクラップの楽しみ

Webにしても新聞にしても、数ある情報の中から、スクラップしたいと思う興味を引く記事というものは、意外と限られている。自分の場合、「農業」「生物」「天文」「歴史」といったところ。その時の気分というか、興味によって、内容は少しずつ変わる。務めていた時は、直接仕事に関わる情報もスクラップしたが、農業自営となった今は、仕事に役立つというよりも、スクラップ自体が完全に趣味と化した。学生時代は「勉強」であり、サラリーマン時代は「仕事に使うため」であった。だから、たとえ大変でも、むち打って続けられた。今は純粋に趣味なのだから、楽しくなければやりたくない。いや、続けることができなくなってしまった。


当初は新聞のみだったスクラップ作業が、パソコン通信、Webと移り変わってきた。おかしなことに母体が変わるにつれて、作業がだんだん楽しくなくなってきたのだ。最初は見出しデータのみだったパソコンの利用も全文検索、さらに画像まで保存できるようになった。便利にはなったのだが、作業が楽しくなくなってしまった。


不定形の新聞切り抜きが「スクラップブック」として形作られていくのは、ある意味、やりがいがあった作業だ。文房具屋からノリピットとコクヨのスクラップブックを買うのも、文具好きの夢男としては楽しんでた。パソコン通信のログを試行錯誤しながらMacPerlで整形して、HyperCardに取り込むこと、また、徐々に改良していくことも楽しかった。HyperCardスタックが、スクラップブックそのものだったのだ。


ニュースのWebページを画像とともに保存するようになってから、いろいろと問題が出てきた。紙copiで簡単にデータを取り込み、主なフォーマットのファイルを表示できるようになったのだが、逆に何でも取り込みすぎて、フォルダが増え、収拾がつかなくなったのだ。紙の新聞記事はスキャナで取り込んで添付ソフト「ファイル管理革命」でPDF化していた。スキャナの性能が良くなったといっても、意外と手間と時間はかかる。画像とテキストをまとめて、ファイル管理革命とGoogle Desktopで利用しようとしたが、もう嫌になった。このデータをまた別のソフトで再利用することを考えただけで、大変で嫌になった。例えば、FileMakerに取り込むとか。さらにRSSリーダーのデータもあった。そっちのデータはどうするか。あまりのごった煮のような状況に混乱してきた。もっとも単純なことが、かなり複雑になってしまったのだ。


Macに移行してからは、Spotlightで検索するつもりで、同じようにニュースを保存し始めた。Spotlightはかなり強力だった。でも、結局、これもWinでやっていたことと同じとわかる。やはり、フォルダ管理が必要なのだ。そんな風に管理しなければならなかったので、嫌になってしまった。なんだか、楽しくなくなった。


気付いた。新聞記事スクラップで大事なのは、その記事の「時間」と「見出し」。決して「ファイル名」ではない。ファイルの作成日でもない。自分が作ったスクラップブックからある記事を探すというのは、「あの頃スクラップしたあの記事」という記憶があるから調べるのであって、決してWeb上でGoogleを使うように探すのではない。結局、自分の手がかかった「なじみのあるデータ」だけが相手なのだ。だから、そうたいしたものではない。自分の選んだものだけなんだから。


あらためて考えると、本物のスクラップブックにしても、HyperCardスタックにしても、「年月日順に並んだ見出し」がポイントだ。ざっと、見直せば、その時の興味というか、流れがざっと見渡せた。フォルダ管理だとこうはいかない。どうせ検索できるからと放り込むと一覧しづらくなるし、分類を始めるとはいずれ破綻してしまう。
ところが「超漢字」だと、とりあえず、放り込んでも、時間軸で見出しを一覧できるのだ。しかも、全文検索もできる。見出し一覧から、記事をアウトラインプロセッサのように開いて中身を見れる。画像も扱える。若干の手間はかかるが、どちらにせよ、他の方法でも結局は何らかの手間がかかる。だったら、「楽しさ」と「単純さ」だ。


型にはまってないだけ、Automatorの処理は楽しい。思いついたら、どんどん改良できる。処理した記事を「超漢字」に渡したあとも同様。より良い方法は何か、探すことも楽しい。OSとしてはできないことや制限もいっぱいあるが、「新聞記事スクラップ」のためのツールとしてだけ考えれば、割り切りが効く。とにかく、「超漢字V」でWindows上で生き残る道があるということは、ある意味、開発ストップになる可能性のあるアプリケーションよりも安心かもしれない。仮にこのまま消え去ってしまっても、最新を追わなければ、このまま使い続ければいい。最悪でも、データはWin、Macにもテキスト、画像として渡せるし、「Webコンバーター」でHTMLファイルとして、リンクそのままに残せる。


そう考えたら安心した。
あらためて「新聞記事スクラップ」を続けたいと思った。