冬休み、子供たちは隣町の図書館で勉強するというので、車で送って夕方迎えに行くというパターンが続いた。いつもアッシー君をやってたら、勉強しに来てるはずなのに子供たちがとても楽しそうで、それではと僕もやってみたくなったのだ。子供かっ!
で、こんなに図書館でぐうたらしたのはとても久しぶりで、広いガラス窓から入る日差しはとても気持ちいい。ふと、脇の棚を見てみると米原万里さんの著作がある。『マイナス50℃の世界』。米原さんの処女作のようだ。TBSのドキュメンタリー番組の取材にロシア語通訳として同行した体験記なのだ。それも子供向け。でも、この本は米原さんが亡くなった後に再出版されたもののようで、あとがきは実妹の井上マリ(故井上ひさし夫人)さんが書いている。それとある人物・・。
実はこの旅行記に、一週間ばかり前に南半球から帰ってきたばかりでシベリアの極寒取材に参加したというアキレサンドル・シナメンスキー・ネルネンコと呼ばれる日本人作家が参加してるという記述がある。お分かりでしょう、彼は椎名誠氏です。米原さんは他のスタッフにも付いているあだ名を紹介している。いつも時間に遅れるカメラマン山本さん「オクレンコ」、にこにこしてるから「ニタリノフ(新田さん)」など。
で、ニタリコフで突然思い出したのだ! 25年ほど前に読んだ椎名誠氏の著作『ロシアにおけるニタリノフの便座について』のことを。そうか、米原さんもこの旅に参加していたのだ!
この本はとても椎名氏特有のウィットが効いていてお気に入りだった。この頃、椎名氏の著作をよく読んでいたのだよね。氏の小説はあまり好きじゃない。紀行ものやエッセー(あやしい探検隊シリーズとか)が好きだったのだ。同様に米原さんのドキュメンタリーやエッセイも好き。まさか、あのシベリアの旅に同行していたとは知らなかった。念のため、本棚の奥の奥からニタリコフ本を出してみた。埃を払って読んでみると通訳の米原さんには一言も触れてない。う~む。
隣町の図書館は井上ひさし氏寄贈の蔵書を元に開館された。そんで、氏の妻は井上マリさん。そして、彼女の姉は米原万里さん。その米原さんは若い頃にシベリア取材をしていた。その処女作が先のシベリア本。僕がその本を読んでその事実を知ったのが義理の弟の蔵書たくさんの遅筆堂文庫。僕の青春の椎名エッセイは米原さんも間接的に関係してた。う~む。時に図書館ぐうたらは必要なのだ!
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