Farmer's Talk Pop

(2018年12月末、はてなダイアリー「夢男のファーマーズ・トーク」を統合しました)

観劇「組曲虐殺」

昨日、夕方、隣町のホールに井上ひさし作の「組曲虐殺」を嫁さんと観に行った。『蟹工船』の小林多喜二の物語。自分は読んでいないが、この『蟹工船』が現代にマッチしているということで、新潮文庫版がかなり増刷されていると報道されていたのが記憶に新しい。
実は本格的演劇鑑賞は初めて。以前、日生劇場劇団四季の「オペラ座の怪人」を観たが、あれは「ミュージカル」だよね。別だと思っている。隣町のホールは、作家の井上ひさし氏の出身地ということもあって、田舎のホールなのに話題の公演がたびたびある。とはいうものの、演目への興味、仕事の忙しさとの兼ねあいで、音楽コンサート以外は行ったことがなかったのだ。
今回、行く気になったのは、その出演俳優陣の魅力もさることながら、舞台でのピアノ生演奏があり、それがなんと世界的ジャズピアニストの小曽根真だからだ。最近、彼の率いるビッグバンド「No Name Horses」の曲「T フォー 2」がお気に入り。
夏にチケット発売開始と同時に手に入れた甲斐があって、観客席の前から真ん中の真ん中。そんなに大きいホールでもないので、俳優の表情はよくわかる。いい席に満足。
ステージ中央には変化自在の「黒いスクエア」。万能舞台装置だ。小曽根さんのピアノはどこのあるのか全くわからなかった。あんな大きい重いものだからないわけがない。おかしいとおもいつつ、物語が始まって驚く。なんと舞台の背景の中に「浮いて溶け込んで」いたのだ。すばらしい!
演劇の感想はインターネット上にあふれている。自分は語れるほどのものももってない。でも、泣いたり、笑ったり、本当に楽しい公演だった。最初「虐殺」と言う言葉と『蟹工船』で、堅く苦しい話かと心配していたが、それは最後までなかった。おかしく悲しい話だっただけだ。
出演の6人がすばらしい。石原さとみは、顔がちっちゃく、かわいいとしか言いようがない。テレビや映画でみる彼女そのまんま。高畑さんも芸達者。朝ドラの「つばさ」でつい最近までそのお顔を毎日観てたから、実際に目の前に出てきて不思議な気分。
6時30分から始まり、途中15分の休憩を挟んで終わったのが10時前。このクオリティーでたった6000円! 考えられない。
久しぶりの充実した時間。途中休憩時間に家に電話したら、子供たちを習字教室に送って行くのを忘れてたことに気付く。今回の「組曲虐殺」を観るにあたって、夏からの綿密な計画の唯一の誤算。丁重にお願いして(笑)じいちゃんたちに連れて行ってもらったのだった。