Farmer's Talk Pop

(2018年12月末、はてなダイアリー「夢男のファーマーズ・トーク」を統合しました)

これって、実は農業映画かも・・・

映画「サイレント・ランニング」のDVDを買った。特撮のダグラス・トランブル監督デビュー作のSF映画だ。嫁さんといつも行くスーパーのワゴンセールで見つけたのだ。(昨日の『PLAYBOY』誌といい、こんな展開の買い物多いな、最近・・・。) 今まで、いろんなSF映画の解説書でその名前は知ってたので、これはなんか偶然の出会いだ、とばかりに買う。かつ、980円と安かったので買う。

映画自体は1972年の作品ということもあって、今の特撮に比べて、いかにも模型模型した感じなのだが、「正しいSF映画」という感じでかなり楽しめた。今のCG満載の映画はちょっとやりすぎなように常々思っているので。宇宙船の内部や機器など、この4年前に公開の「2001年宇宙の旅」「猿の惑星」に比べて、今の宇宙開発に近い映画、なんて思ってしまった。植物が地球上から絶滅してしまった設定なんて、全く、あり得ない、なんて断言できない現状なわけだし。

この映画の主役ブルース・ダーン演じる植物学者ローウェルと2体のロボット(ドローン)が、けなげにも植物を育てる場面を見ていると、宇宙が舞台ということを忘れてしまう。まるで「山の中に犬たちと一人住むおじいさん」といった趣。このドローンたちがいい味を出している。外見はともかく、その行動がロボットロボットしてないんだな。温かみがある感じ。「禁断の惑星」のロビーや「スター・ウォーズ」のR2D2のような。植物の植え方をドローンたちに教えている場面なんか、とてもほのぼのとしている。まんま園芸教室。


「植物ドーム」を見てて、アメリカ・アリゾナ州コロラド州の「バイオスフィア2」を思い出してしまった。かつて、宇宙空間での生物圏の維持を目指していた閉鎖系の研究施設だったと思う。この施設については、池澤夏樹の『母なる自然のおっぱい』所収・「ガラスの中の人間」、講談社ブルーバックス『バイオスフィア実験生活』が詳しい。当時、夢男は「バイオスフィアおたく」で、当時の実験生活を報じた新聞記事などを欠かさずスクラップしてたぐらい。本によると実験生活で問題となったのは、やはり食料の問題だったように思う。天候がよければ、作物の生育が順調で食料がバラエティに富むが、悪天候ならば、その逆。そうすると、士気も下がる。
映画にもそんなシーンがあった。映画の中のエピソード、ローウェルがみんなが食べている宇宙食(典型的な電子レンジでチン、のやつ)をののしって、自分が栽培したメロンを食べているシーン、やむなく宇宙食を食べるが、だんだん陰気になっていって、そこら中にゴミがいっぱいになってるシーン。それを見て思った。これこそ、今現在の日常の食卓そのものじゃない!?
2001年宇宙の旅」の宇宙連絡船内での宇宙食は、チューブでチューと吸うタイプのもの。とても、おいしそうには見えない。小学生の頃、晴海の「宇宙博」に行ったことがあるけど、あの時見た宇宙食の印象も同様。未来の食は、決して、明るくなかったのだ。時折、ニュースなどで紹介される現代の宇宙食もそう。おいしくなったようだが、食に関してはそうは変わらないのだ。その点、この「サイレント・ランニング」で描かれた「宇宙育ちのメロン」のおいしそうなこと。そんな意味でも、この映画は、「現代の食生活」に対して「先見の明」があった農業映画といえるんじゃない。
安くておいしい直売所の野菜、のような新鮮な映画でした。
バイオスフィア実験生活―史上最大の人工閉鎖生態系での2年間 (ブルーバックス) 母なる自然のおっぱい (新潮文庫)