Farmer's Talk Pop

(2018年12月末、はてなダイアリー「夢男のファーマーズ・トーク」を統合しました)

重力と無重力の間には、きっと人間力があるのだ…「ゼロ・グラビティ」

ゼロ・グラビティ

イオンシネマ(2D字幕、初見)、☆4(宇宙ものに目がないので…)


地上600㎞の静止軌道上でハッブル望遠鏡を修理中の科学者ライアン博士(サンドラ・ブロック)。そこにロシアがスパイ衛星を破壊したため、その破片が近づいているとの連絡がスペースシャトルに入る。シャトルの船長コワルスキー(ジョージ・クルーニー)と一緒に退避しようとするライアン。多数の破片が彼らに降り注ぐ。彼らの運命は…。



Gravity - Official Teaser Trailer [HD] - YouTube


今回は、前日に今日の公開ということを知り、急遽観に行ったのですが、上映時間の都合で2D字幕版となりました。この映画、本当は前評判どおり3Dで観たかったのですよね。その場合、日本語吹替になるという大きな問題もありますが、監督が3Dをおすすめしてるということもあってそちらで観たかったです。でも、宇宙空間に浮かんでいる宇宙飛行士の呼吸らしさといいますか、雰囲気という意味では、字幕版の方が間違いなくいいでしょう。ということで、再び観るチャンスがあるならば3D、それもIMAXで観たいです。2Dだからといっても映画としては間違いなくよくできた映画でした。

実はこの映画の主演サンドラ・ブロックは、私にとってあまり好きな女優さんではないのです。キアヌ・リーブスと共演した「スピード」の彼女はよかったですね。ベビーカーをバスで轢いてしまって「赤ちゃん、轢いちゃった!どーしよ、どーしよ」と狂乱する姿がとても印象深いです。いや、その場面だけじゃないのだけどね。「スピード2」「デンジャラス・ビューティー」他…ダメでしたね。未見ですが、彼女がアカデミー主演女優賞をとった「しあわせの隠れ場所」なんか、きっといい映画だとは思うのですが、先の映画のダメさ加減が頭の中をよぎってご無沙汰だったのです。今日から公開の「ゼロ・グラビティ」を観るまでは…。

この映画でようやく「スピード」のサンドラ・ブロックが帰ってきました!!「ゼロ・グラビティ」のサンドラは、私の好きな彼女でした。同様にジョージ・クルーニーもいかにも彼らしい役。この映画はこの二人以外ではできなかったでしょう。って、実はこの映画には彼ら二人しか出てきませんがね(笑)。いえ、もう一人スターが出てきます。ラスト・クレジットにありますが、エド・ハリスが地上の管制官役で出てます。声だけの出演ですが…。感のいい方ならもうお気づきでしょうね。先の二人の運命を暗示させるエド様の起用です。画面には映りませんが、きっとベストを着てたことでしょう(笑)*1

一緒に行った嫁は、映像の斬新さに驚きながらも、出演者の少なさ、宇宙マニア的設定にちょっと不満みたいでした。それはどうしてもしょうがないですね。でも、この映画はまぎれもなく人間を描いた映画です。スペースシャトルとか宇宙遊泳、宇宙ステーションなど小道具は宇宙モノですが、極限状況に置かれた人間が何を考え、いかにそこから抜け出すかがテーマです。宇宙服の中や宇宙船の閉じた世界で、サンドラ・ブロックは間違いなく、そこにただ一人だけ存在している人間を演じきっていました。

この「ゼロ・グラビティ」は私の宇宙映画ベスト10に入る傑作です。ただ、ひとつ疑問があります。映画の邦題は「ゼロ・グラビティ」。原題は"Gravity(重力)"。なぜ、意味が真逆のタイトルとなったのか。無重力の映画で3Dだから…というディズニーランドのアトラクション的思考で付けた邦題か。あくまで人間ドラマにこだわったからこその原題だったのでは、と深読みせずにはいられません。久しぶりに観た骨太の映画らしい映画でした。

追記:宇宙空間に合わせたのか、一日最初の上映だからまだ館内が暖まっていなかったからか、映画を観ていてとても寒かったです。より映画がリアルに感じられことはご愛敬…(苦笑)

*1:よくわからない人は映画「アポロ13」を観ること!