Farmer's Talk Pop

(2018年12月末、はてなダイアリー「夢男のファーマーズ・トーク」を統合しました)

「キュウリは年寄りっぽい」ことについて(その1)

facebook辻井 浩昭 | Facebookのウォールのコメントにそう書いたら、何で?という質問があったのであらためて。
私はキュウリ農家なので、キュウリは好きです。愛してます。でも、当然、恋人へのそれじゃなくて(笑)、仲間としてのそれ。そんで、それでもずっとキュウリと共に生活してて、キュウリは年寄りっぽい野菜だと思っている…。
今回はその理由を一つ。
理由その1「作る人も食べる人も高年の人が多いから」
キュウリは近年、トマトにその地位を譲るまで野菜の売上高第1位であった。その理由は単位面積当たりの売上が高く、栽培面積を増やすと農家の収入に直結したため多くの農家に作られ、また代表的、手軽な野菜であるため多く消費された。福島では40年以上のキュウリ栽培歴の農家がぞろぞろ。キュウリ農家の若い跡継ぎもいるようだが、若い人はトマト、花卉に転向する農家も多いようだ。キュウリ栽培の作業の大変さから、露地栽培からパイプハウス栽培に移ったキュウリ農家の若い人は、施設の単位面積の収入をより効率よく上げるべく、ミニトマトや花壇苗に移行。露地でも施設でもシーズンは毎日の収穫を休めないキュウリは、若い人たちにはその収益はともかくとして、生活面ではまったく魅力がなかったのだ。残ったのは地味な作業でも平気な老齢な農業者。
また、キュウリは本当に地味な野菜で、近年、他品種をフルーツ感覚で店頭に並べられているトマト、ミニトマトに対して、キュウリは結局のところ、どんな品種であっても新鮮なキュウリであればいいという感じの売り方。キュウリの浅漬けやぬか漬けなのでまとまった量を購入するのは高齢の消費者。若い人はサラダにちょこちょこという感じ…。家に直接買いに来るキュウリのお客さんはほぼ高齢者。若い人にとってはキュウリはそこまでして買う商品ではないのだった。
核家族化とか、その他の理由でキュウリの消費量はどんどん減りつつある…。だからこそ、キュウリは"若い"トマトに負け、作る方も食べる方も高齢者中心の野菜になったのだと思う…。
その2につづく。