娘の住むところから自動車専用道路での帰り道、公園の真ん中にぽつんと黄金色の物体がずっと気になっていた。後で調べてみるとそこは平成8年に縄文時代の土偶が出土した場所らしい。 その土偶は「縄文の女神」の女神と名付けられた。発掘地は公園として整備され、道路から僕が見たのは、記念に建てられた土偶のレプリカ像だったのだ。
そういえば、子供たちがまだ小さいとき、県立博物館でこの像を見たことを思いだした。なんとここが発掘地だったのか。で、この11月末、再び用事があって念願の現地に行ってみたのだ。まさか、子どもがらみで再会できるとは思っても見なかった。
女神像は川を見下ろす高台にあった。周りは住宅地。もしかしたらここは縄文時代から人が住むには快適な場所だったのかもしれない。カメラを持って像に近付くとレプリカが意外に大きいのに驚いた。博物館で見た本物(原寸大レプリカだったかも)は資料によると身長45cmぐらい。レプリカはその倍以上はある。縄文時代にものにモダンという言い方はおかしいけど現代のデザインにも見える。胸を張っておしりを突き出したようなポーズ。現代人にも負けないグラマラスなプロポーションで、ちょっとエロチシズムも感じる。専門家によると「生命を産む女性をかたどり健康祈願やまじないなどに使ったのではないか」ということらしい。なるほど。
公園には小さな子供連れの家族が遊びに来ていた。その楽しそうな姿を見て僕たちの子供たちの小さかった頃を思い出した。子育てはとても大変だったけれど、あんなに楽しかったことはなかった。不自由なとてつもない楽しさの中で子供たちの未来を見ていた。きっと縄文時代から数え切れない家族がこの地を歩いたんだろなあ。