Farmer's Talk Pop

キュウリ農家 "夢男"の好きな映画や音楽や・・・

「タクシー・ドライバー」に"今"をみた…のか…

映画「タクシー・ドライバー」といえば、何よりも先に思い浮かべるのが、「ニューヨークの夜」と「イエロー・キャブ」だ。ロバート・デ・ニーロが演じるベトナム戦争からの帰還兵でタクシー・ドライバーのトラヴィスが強烈な印象を残すこの映画。二十歳の時、トム・スコットがテナーで演奏するバーナード・ハーマンの「タクシー・ドライバーのテーマ」は繰り返し繰り返し聞いていた。むせび泣くようなテナー・サックスが忘れられない。作曲者のバーナード・ハーマンはこの映画音楽の録音を終えた何時間か後に亡くなってしまい、これが遺作だとか。

映画の見方はいろいろあるけど、僕は映画の音楽から入ることが多い。かつてラジオなどで映画音楽を専門にした番組はいくつかあった。田舎だし、ビデオも普及してない頃、映画の息吹を伝えるくれるのは、映画雑誌とラジオから流れてくる映画音楽だった。ある時この「タクシー・ドライバーのテーマ」を聞いてはまってしまったのだった。でも、なかなか、観る機会はなく、映画ファンであるため、その内容は映画を観ずして知ってしまった気になってた。

この映画は1976年の映画だから、ベトナム戦争の不条理をデ・ニーロのタクシー・ドライバーに投影しつつ、かつ、青年の苦悩を描いている、と見るのがごく普通だと思うのだ。映画の解説を見てもそんな風に書いているのではないのだろうか。

タクシー・ドライバー

Hulu(初見)、☆4

ちょっと前にずっと名作といわれるがゆえに見ていなかった「タクシー・ドライバー」を見た。ソフトも普通に売っているわけで、見ていない方がおかしいとも言っていい作品。見ていなかったのは、あまりにも音楽を聞き込んでいたから、その音楽からうけた好印象、つまり自分の思い描いたイメージを崩したくなかったこともあったのかもしれない。

実際に見たこの映画は驚きの連続だった。「なんだ、青春映画じゃないか!」そんなふうに思った。

戦場から帰還して社会になじめないデ・ニーロ。社会は矛盾だらけで自分に冷たい。選挙事務所に勤務するシビル・シェパードに心惹かれるデ・ニーロ。でも、上手くいかない。なんとかしたい。なんとかしなくちゃ。そんな焦りが伝わる。逆恨みからか、大統領候補の暗殺という無茶な行動に出る。当然失敗に終わるのだが。そんな時に知り合う娼婦をしている少女ジョディ・フォスター。彼女を救うことが自分のやるべきことだと思い込むデ・ニーロ。

結末はともかくとして、当時は衝撃的だったはずのこの映画。今見ると、おかしなことに社会背景も登場人物達のごくごく普通に思える。いまと同じじゃないか!

デ・ニーロの苦悩は今の青年たちと似てるのかもしれない。戦争から還ってきたわけじゃないけどね。少女ジョディ・フォスターにしても現代では全く違和感がない…気がする。

それだけにシビル・シェパードとデ・ニーロの関係だって、見てる人が二人の関係にドキドキするようなところが(上手くいくかどうかってことね)、際だって普通に思えた。やっぱり青春映画じゃないか、この映画。

この映画は観客がモラルを測るコンパスを見事にぐらつかせてしまうため、見終わっても、出せない答えを出そうと必死で取り組むことになる(JKL)(「死ぬまでに観たい映画1001本」より)

あ、そうそう、この映画には若かりし日のハーヴェイ・カイテルがポン引き役で出てるのだけど、それがどうみても歌手のダイアモンド☆ユカイにしか見えないのだ。硬派な映画なはずの「タクシー・ドライバー」が青春物語にしか見えなかったのは、そのことも大きな理由なのかもしれない…。なんとも言えない不思議な感じである。

トラヴィスの気持ちに入ってしまったのか、僕は…。


Taxi Driver [1998 Remaster] [Original Soundtrack ...