Farmer's Talk Pop

(2018年12月末、はてなダイアリー「夢男のファーマーズ・トーク」を統合しました)

ああ、結婚。ああ、結婚…

ブルーバレンタイン

DVDレンタル(初見)、☆3(怖いから…)

きみに読む物語

BS(初見)、☆3(夢みたいだから…)

いつか晴れた日に

BS録画(初見)、☆4(希望にあふれているから…)

以前、話題になった「ブルーバレンタイン」を観ました。日本公開前にAppleTVで予告編だけは見ていたのでした。素敵な恋愛映画を予感させるそれは恋人たちの映画そのものだと思いましたね…最初は。タイトルに「バレンタイン」という言葉があるわけだし…。なんでだか、「ブルー」が付くということが意味深と思ったけどね…。

その予告編とは…。
「夜の町のショーウインドーの前に若い二人が立っている。うわずった感じの独特の彼の歌声とウクレレの演奏に合わせて、器用に彼女は踊る…。恥じらいながらも楽しげに…」(印象 by 夢男)

'Blue Valentine' Trailer HD

こんな場面を観たので、当然、"心のツボど真ん中な"素敵な恋愛映画だと思うよね。
映画の主役の男はライアン・ゴズリング。女はミシェル・ウィリアムズ。この二人は劇中、恋人同士であり、夫婦。映画は、この二人の現在の夫婦関係と過去の恋人時代を交互に行き来する。美男美女のお似合いの二人…。
でも、いざ映画を観始めるとなんか空気が違う。それもかなり…。


実はこれに先立ち、このライアン・ゴズリングの映画を観たのだよね。その映画は「きみに読む物語」。

認知症になった妻(ジーナ・ローランズ)を夫(ジェームズ・ガーナー)が施設で面倒をみている。読み聞かせているのは若い二人、ノア(ライアン・ゴズリング)とアリーの恋物語。老人となった現在から、若い二人が出会った頃に物語は飛ぶ。遠い過去、身分違いの恋で家族からノアとの付合いを反対されているアリー。お互いを信頼しつつも不安でそれぞれが別な人と付き合う若かった二人。しかし、どうしても相手のことを忘れられない。認知症となった妻に物語を読むことで、自分たちの過去を思い出させようとしているのだ…。

きみに読む物語」は、哀しくも幸せなラストで映画は終わる。結婚はいいものだ、伴侶との出会いはすばらしいものだ、と心から感じさせる映画でした…。
この映画は一人で観たのだけれども、夫婦で見ても、恋人同士で観てもいい映画だな、と思ったのだよね、この「きみに読む物語」は…。


確定申告も終わったし、気分的にすごくすっきりとしたから、久しぶりに嫁さんと一緒に恋愛映画でも観ようと借りてきたのが、こちら「ブルーバレンタイン」…。それなのに、ああ、それなのに、甘い空気からは遙か遠いこの雰囲気…。


映画は、偶然の出会いから熱烈に恋愛した二人の結婚前と結婚後の状況を描いている。結婚前の出会ったばかり故の心のときめきはこちらにも伝わる。結婚後の場面では、どうやら二人の愛は冷めたらしい。
嫁と一緒に観ていて、途中、それも始まって早々、なんだこれっ、って思ったよね。恋愛映画なのに変な感じ…。っていうか、すごく怖い感じがした…。どれぐらい怖いかというと、なんだか、身近にある怖い感じと一緒…。ああっ、よく考えるとなんと夫婦喧嘩した時の怖い空気と一緒なのだ…。なんだか「酒とバラの日々」でジャック・レモンとその妻がだんだんとお酒のせいで家庭が壊れて不仲になっていくのも思い出しましたね。まさにどこの家庭にも迫るかもしれない「今、そこにある危機」(笑)。

「危険な情事」のマイケル・ダグラスは自分の不始末だから、グレン・クローズが鬼気迫ってきて、彼が恐怖を感じていてもそれはしょうがない。観客の誰もが認めるところ。
ブルーバレンタイン」の怖さはそうじゃない。普通の夫婦が見えない力で引き離されそうなのだ。それもじわっじわっと…。それも、夫と妻のどちらが悪いわけでもない。いや、夫が悪いかな…、いや、妻もちょっとは悪いかな…。とどちらも擁護してみても、二人が陥るところは痛すぎて痛すぎてとても観ていられない…。二人で泊まるホテルのシーンに至っては、恐怖映画の何物でもないね…。


そして映画は結末を迎える。途中の怖さからは考えられないぐらいあっけなく…。
考えてみれば、観ていて怖かったけれども決して恐怖映画じゃないから普通に終わっただけなのだよね、この映画。ごく普通の夫婦の話なのだ。だからこそ、その恐怖が身近でよくわかる…。でも、最近、こんな怖いの観たことなかった…。ああっ…ぶるぶる…


この世に男と女がいる以上、出会って結婚する。まあ、結婚しないという選択肢もあるとは思いますが、ここでは結婚することを前提とします。結婚する相手は誰でもいいわけじゃなくて、自分が気に入った相手がいいと男も女も思っているでしょう。それが成就すればとても幸せなこと。これは昔も今も変わらないのではないかと思います。

<ここで音楽をどうそ! >

Sarah Vaughan - That's All


次に観た「いつか晴れた日に」は、「ブルーバレンタイン」でどん底に落とされた結婚観を天上に戻してくれる恋愛と結婚映画の秀作でした。


エノリア(エマ・トンプソン)、マリアン(ケイト・ウィンスレット)、マーガレット(エミリー・フランソワ)のダッシュウッド家の三姉妹は父の死により、それまで住んでいた屋敷を追われて田舎に引っ越した。引っ越す前にエノリアは義理の兄の妻の弟エドワード(ヒュー・グランド)に心惹かれる。ところが、会いに来る約束をした彼はまったく来ない。寂しさに耐えるエノリア。一方、マリアンに惹かれる隣人のブランドン大佐(アラン・リックマン)。しかし、マリアンは大佐より若いウィロビー(グレッグ・ワイズ)がお気に入り。姉妹の前にエドワードの婚約者があらわれたり、ウィロビーによからぬ噂が立ったり、姉妹の恋は順調にいかない。そして…。


この映画の三姉妹の素敵なこと、素敵なこと。特に「タイタニック」以前のケイト・ウィンスレットの若さと美しさ。「タイタニック」では、美しくも強い女を演じてましたが、この映画の彼女はものすごくもろい。それだけにさらに魅力的。姉役のエマ・トンプソンもとても美しい。この二人の姉妹の対比が、ただのどうってことのない恋愛物語のグダグダに深みを与えていると思う。ヒュー・グランドは期待を裏切らずにダメ男を演じていてくれるし…。

この映画の男女は最後には落ちつくところへ落ちつきます。観ている私たちは、やっぱり結婚に至った出会いはいいものだなあ、と思います。


ブルーバレンタイン」で一時はどうなるかと思った「結婚」のいうものへの印象。上がったり、下がったりしましたが、結果的にケイト・ウィンスレットエマ・トンプソンの涙がすべてを洗い流してくれたのでした…