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Farmer's Talk Pop

キュウリ農家 "夢男"の好きな映画や音楽や・・・

青春:漠然とした将来への不安… 「カクテル」

Movie

カクテル

BS録画(2回目。初見は公開当時、千葉駅の駅ビルの映画館?で観た…)、☆3(ベタベタだが、自分の青春のひとコマを成す映画だから…気持ち的には☆4)

兵役を終えて友人たちに見送られ、NYへ来たブライアン(トム・クルーズ)。学歴がないため、なかなか就職ができない。とりあえず、飛び込みで入ったバーにアルバイトとして雇ってもらうことに…。オーナーのダグラス(ブライアン・ブラウン)はウマが合う彼を高く評価。パーフォーマンスが話題のバーテンダー・コンビとして人気が出る。しかし、ガールフレンドを巡るちょっとした喧嘩をしたことで別々の道へ。そして、ブライアンはジャマイカへ。そこで…

若きトム・クルーズ主演のベタベタの青春映画で、たしかに映画としてはたいしたことない。作品自体の評価も低く、主演のクルーズ自身も好きじゃないらしい。でも、自分にとってはこの映画は忘れられない青春時代の映画なのです。

当時、私は就職したばかり…。住んでいたのは独身寮。就職したといっても不安はいっぱいでした。将来、職場でどういう位置になるのか。転勤の多い職場だったのでこれからどこに行くことになるのか。恋人はできるのか。結婚できるのか。農家をしている山形の実家はどうなるのか…。

そんな時、TVでしきりに宣伝されていたのがこの映画の予告。映画主題歌「ココモ」(ビーチ・ボーイズ)がしきりに流されて、ネオンの「Cocktail」という文字がなんだか素敵に思えた…。学生時代にヒットした「トップガン」のクルーズ主演だし、そのあとの「ハスラー2」も好きだったし。とにかく、彼には私のちょっと先を行く青春を演じてくれる俳優というイメージがありました。青春の師匠の彼の映画だから観ないわけにはいかなかったのです。

そんな仕事が休みの日、この「カクテル」を観に千葉駅近くの映画館に向かいました。当時、成田市に住んでいたので、映画を観るといえば近くの街に行かないと観られなかったのでした。だから千葉。PARCOもあったし、SOGOもあったし、最も身近な街がchiba。就職したばかりで車も持ってない。車を持っている友人もいたのですが、何だか男同士では観たくなかった…。で、電車で向かったのです。

到着した時、映画館は暗くなり、既に予告編が始まってました。いそいそと通路側の端の席へ座る。同時上映はたしかシシー・スペイセク主演の「すみれは、ブルー」(だったような気がするが、公開年度があわないぞ…)。そちらはいまいちな内容だったような…。一方「カクテル」はまさに期待どおりの内容でした。恋人役のエリザベス・シューが素敵(ファンなんです)。こんな恋人ができたら…。幸せに結婚できたら…。といい気分で映画を見終わる。が、映画の途中から気付きました。カップルが異常(笑)に多いことに…。そうです。ほぼカップルか、女性同士ばかりでした、この映画の観客は…。しまった…(笑)。まあ、気持ちよく、映画を観られたのでよし。恋人の件は今後の課題として帰途につく。

千葉駅で電車時間まで結構時間があって、どうしようかと思っていたら、なんとちょっとしたショットバーがあるじゃないですか。カクテルなんか飲んだこともないのに、そんな映画を観たものだから、とにかく飲みたくなった。で入ったのだが、メニューを見てもどれを飲んでいいのかわからない。映画に出てきた派手なメルヘンチックなカクテル(笑)だと、男一人なのにあきらかに頭がおかしいやつに見える。なので、よく小説とかで名前を見る「ジンライム」か「ジントニック」または「ドライ・マティーニ」だな、と脳内でもう一人の自分と相談。結局、ジンライムを飲みました(笑)。

寮に帰宅して、映画の余韻に浸りつつ、夕食を食べて風呂に入る。寮だから大きな浴場があるわけで、ずらっと並んだ洗い場で職場が別だが顔見知りの先輩が一緒になったのでした。

「夢男君、今日の休みは何してた?」
「(あまり言いたくなく…)映画、観に行ってましたよ」
「何観てきたの?」
「(これもあまり言いたくなく…)トム・クルーズの『カクテル』」
「ああ、あれね!。誰といったの?」
「…ひとりで…(聞くなよ!怒)」
「なんだ〜。寂しいな〜。ダメだよ、そういう映画は彼女と行かなきゃ」
「彼女いないんです(泣)」
「じゃ、ガールフレンドと」
「ただ、観たかっただけだから…(どん底)」


そんな感じで先輩とはよくお風呂で顔を合わせるとよく話したのでした。
それから1年ほどたったある日…

「○○さんは彼女いるのですか?」
「いるよ」(なんと、あっさりと…)
「近くの人ですか?」
「いや。田舎」
「遠距離ですか?」
「まだ、学生なんだ…」(心なし、寂しい雰囲気に…)

よく聞くと、その先輩の彼女はいったん就職したのだが、どうしても獣医師になりたくて(先輩も獣医…)大学に入り直したらしい。本当は先輩はその人と結婚したかったので、入学試験に落ちて欲しいという複雑な心情だったらしいのですが、幸いというか不幸というか受かってしまった…。で、婚約者なので学費も援助しているという。早く彼女と結婚したい。
思わぬ会話の展開に、以前に交わした一人で映画に行った不幸な会話なんて吹っ飛んでしまった…(笑)。なんて、大人な悩みなんだ…。青かった私は先輩がまぶしく見えました。


ということで映画「カクテル」と聞くと、あの時の何ともいえない青春の記憶が先輩の顔とともに蘇ってくるのです…