Farmer's Talk Pop

キュウリ農家 "夢男"の好きな映画や音楽や・・・

愛のかたちは見方によって… 「トーク・トゥ・ハー」

トーク・トゥ・ハー No.13 p944

BS録画(初見)、☆4

ペドロ・アルモドバル監督作品。事故で昏睡状態になったアリシア(レオノール・ワトリング)。ベニグノ(ハビエル・カラマ)はアリシアに恋していて、彼女を一方的に愛するあまり、看護士としてすべての世話することになる。また、女闘牛士のリディア(ロサリオ・フローレス)は、競技中に大怪我を負い同じく昏睡状態に。悲嘆にくれるジャーナリストで恋人のマルコ(ダリオ・グランディネッティ)。マルコとベニグノは愛する女性が同じ昏睡状態ということで友としての交流が深まる。そんな彼らに思わぬ出来事が…。

深い愛についてがテーマな映画。その愛とは、好きな女性に対して、友に対して、家族に対して、師に対して…。でも、好きな女性への愛は一見ストレートなものに見えるけども、かなり変則的で衝撃的。娘をもつ父親の立場ならば、あらかじめストーリーを知っていたならば、見なかっただろう映画。何もそんな内容にしなくてもいいのにとも思えるかも…。ところが、観ているとそんなことを感じさせさせない不思議な映画なのだ。観ていると自分の知らないうちに映画の主人公たちに惹かれていることに気付くのだ。

「惹かれるキャラクターその1」のマルコ(笑っちゃうぐらい俳優の高橋克実似。とにかくよく泣く…。そこがいいのだけど)はともかく、「惹かれるキャラクターその2」のベニグノは女性ならばきっと嫌うだろう男。だって、その行動はストーカーみたいなもので、皆が「キモい」ということ間違いなし。でも、男の目から見ると行動の是非はともかく、その純粋さはある意味、うらやましい。好きな女性ができたのなら、少しでも近くにいたいと思うのは、誰もが持っている男の真理。それをベニグノは実行してしまったのだから…。

そのベニグノが恋する「惹かれるキャラクターその3」の主人公のアリシアはダンサー。彼の住むアパートからダンスのレッスンスタジオが見えるのだ。アリシアの師匠、「惹かれるキャラクターその4」をジェラルディン・チャップリンが演じていて、これがまたいい。映画終盤、その二人の師弟関係はすごく素敵。映画の随所に音楽と踊りがちりばめられているこの作品の要は、この二人の関係のような気がする…。

「惹かれるキャラクターその5」は、映画の随所にちりばめられている音楽とダンス。ピナ・バウシュカエターノ・ヴェローゾのパフォーマンスはそれだけで涙もの。映画のラスト、複数の男女が腰を振りながらのダンスは悲しくも微笑ましい。そのダンスシーンと共にエンド・クレジットとなる(クレジットのフォントと色、特殊効果がセンスよくてよくて…)。救いのない物語に終止符を打つのが、大切なものを失ったはずの惹かれるキャラクターの二人。再生と新たなる出発。観ている私たちもがんばって生きていこう、と心から思うのである。

「この映画の最も重要な成果は、観客に一体感を促すやり方にある。これは深い黙想であり、その中で我々は人や物、我々の人生を表す主題とじっくり会話を交わすことになる。」(AD)(「死ぬまでに観たい映画1001本」)

追記:劇中、アリシアの病室にロケット形の置物がある。アレが気になって気になって…。正直、欲しいです(笑)