Farmer's Talk Pop

(2018年12月末、はてなダイアリー「夢男のファーマーズ・トーク」を統合しました)

ネット環境をシンプルに

思い立って、ネット環境をかつての状態に戻そうと挑戦中。えっ、モデムででも通信するのかって? いや、そうではなくて、ブログとメール中心に戻してみようかと思って。というのは、メールが唯一の通信手段の人物と会話することになったからなのだ。LINEもFacebookもツールは何でもある今の時代になんとPCメールだけしか手段はない。わけありなのだ。
Facebookブックの"いいね"もシェアもしなくなってからちょうど1週間。ちょっとは寂しい気もするけど、気にしなくていい分、スッキリとした感じでもある。さて、どうなることやら。

追悼 キャリー・フィッシャー

昨日、起きてTwitterを開いたらキャリー・フィッシャーが亡くなったというとても悲しいニュースを知った。先日、飛行機内で心臓発作で倒れたらしいけど、容態は安定してると報道されてたから安心してたのに・・。
先日、息子と「スター・ウォーズ」エピソード4の前日譚*1ともいえるべき映画の「ローグ・ワン」を観てきてからそれほど経ってないこともあって驚いた。息子にも話したらやはりとても驚いていた。

僕は「スター・ウォーズ」に劇場で観たのはエピソード6の「スター・ウォーズ ジェダイの復讐*2からで、4と5はその後、洋画劇場かなんかで観た。一般的にはレイア姫役のキャリー・フィッシャーというとエピソード4の白い裾を引きずるような服を着ていて、少しぽっちゃりした十朱幸代似の女の子というイメージ。でも僕のキャリー・フィッシャーはあくまで「ジェダイの復讐」の金属ビキニの美女。当時、愛読していた寺沢武一の漫画「コブラ」に出てくる優しくて強くてカッコイイ美女なのだ。

彼女に関して忘れてはならないことがある。僕の大好きなアーティスト、ポール・サイモンの妻だったということだ。1983年「ジェダイの復讐」公開の年、ポール・サイモンはアルバム「ハーツ・アンド・ボーンズ」を発表した。その頃、ポールとキャリーは短かったけれども結婚生活を送っていたのだ。どんな結婚生活だったのか。先のアルバムの同名曲「ハーツ・アンド・ボーンズ(心と骨)」が彼らの結婚生活を歌っているといわれてる。訳詞をみるとなかなかシニカルな内容だけれども、曲はとても美しい。ポールはそのキャリアの長さの割に出してるアルバムがとても少ない。ポールファンには一般的でないけども、僕はこのアルバムが一番好きだし、彼の最高傑作だと思っている。

ハーツ・アンド・ボーンズ(紙ジャケット仕様)


今回のキャリーの訃報に対してポールはコメントを出している。


これを愛と言わずして何と言おう。いろいろあったと思うけど、ポールのこの「ハーツ・アンド・ボーンズ」がキャリーを追悼するのに最もふさわしい曲だと僕は思うのだ。安らかに、キャリー。


<追伸>
ここまで書いたとき、またもやTwitterで訃報が流れた。キャリーの母であるデビー・レイノルズが亡くなったそうだ。なんてことだ・・・。娘の死を受けてデビーが望んでいた母娘が一緒になること。それが彼女たちへのせめてもの慰めなのかもしれない。

*1:国語辞典に無い造語ということもついでに知る。よく見かけるのでてっきり後日譚と同じように元からある言葉かと思ってた・・

*2:今は「ジェダイの帰還」になってるけど、高校生の僕が観たのは「ジェダイの復讐」だから、誰がなんと言おうとこのタイトルなのだ!!

少しくたびれてきた40代おっさん心を洗ってくれた映画3本

昨日髪切りに行ってスキッとする。「髪を切った私に 違う男みたい」と誰も言ってくれないけど。いや、娘達はお父さん髪切った?とは言ってくれた。それはいつものボサボサではないからね。ともかく、40代も後半になるとちまたで話題の新垣結衣星野源と『逃げ恥』を観たぐらいでは浄化するのが難しいぐらいの心になっているわけで、時々、映画を観て喝を入れなくてはならない時期なのは間違いない。で髪切った帰りにDVDをレンタルしてきたというわけだ。


「忘れられない人」
  GEOレンタル(初見は20数年前。覚えていないぐらい何回も), ☆4

青春映画、あるいはラブストーリーで何が好きかと聞かれたら個人的にはこの映画が五本指に入る。ストーリーは「気付いたらいつも側にいた人を好きになった」という、まあ陳腐な恋愛ものなのだけれども、そうは単純じゃない。この映画には、来年公開予定のマーベルになった「スパイダーマン」の新作で、あり得ないぐらい若いメイおばさん役になるマリサ・トメイが出てる。僕よりちょっと年上の彼女だから、いわゆるおばさんなのだけれども、とてもいい感じに年を取ってる。そんじょそこらのおばさん女優ではない(キッパリ)。ハッキリ言って好きです。うちの嫁さんはいつもハリウッドの女優さんたちにはとても辛口で、絶対になんかしてる、何にもしなくて劣化しないわけはない、と言い切る人。でも、彼女は絶対にそんなことはない。特別なのですわ(笑)。この主演映画は、若い時の彼女の魅力が最もあふれているのではないか、と個人的に思っているぐらい。彼女は「いとこのビニー」でアカデミー賞助演女優賞を取ったのだけど、どこがおもしろい映画か正直わからない。でも間違いなく彼女だけはとてもいい感じ。そのアカデミー賞受賞作よりはこっちのほうがとてもいいのだ。
この「忘れられない人」はきっと低予算製作で本当に地味な映画だけれど、音楽はなかなか。この映画の劇中「Nature Boy」という曲が流れる。ナット・キング・コールで有名な曲だ。この曲はアダムの曲だとする。冒頭マリサ・トメイの着替のシーンでスザンヌ・ヴェガの「トムズ・ダイナー」が流れるが、これはキャロライン=マリサ・トメイと曲とする。この映画を簡単に説明せよと言われたら、解答はこの2曲であると答えたい。僕はこの2曲と共に、この映画のマリサ・トメイが「忘れられない人」となったのである。マリサ・トメイの泣き笑いが素敵。ハッキリ言ってかなり泣ける(当社比。笑)


キャスト・アウェイ
  GEOレンタル(初見), ☆3.5

主演のトム・ハンクスは好きな俳優だ。そのトム・ハンクスはこの映画ではFedExの社員で、貨物機に荷物と一緒に乗って世界中を飛び回っている。婚約者のヘレン・ハントを残して、南米に飛び立ってから飛行機が墜落して、孤島で生き延びる様子を描いたのが今回の映画だ。FedExの貨物機なのだから宅配便の荷物をいっぱい積んでいるわけで、そのいくつかが島に流れ着く。それらを使って生き延びるのが映画のテーマでもあるのだが、キーとなるのがWilsonのバレーボール。ボールに付いた血の手形を「Wilson」と名付けて話し相手にしてるのだ。婚約者も重要なキーなのだけれども、Wilsonくんがとても良い。前半から中盤まで、トム・ハンクスの独り芝居といっていいぐらいのこの映画だけれども、Wilsonくんがいなければとても退屈な話だったと思う。Wilsonくんに泣ける。

あ、上の2作にジャンル違いだけれども共通のセリフがある。「僕がどれほど君を愛しているのか」というようなセリフをクリスチャン・スレイタートム・ハンクスも言う。完全に男目線の台詞。少し傲慢かも。でも、2人とも命がけの体験の上でそれを言ってる。けっしてヘタレが口にできる言葉ではない。こんなことを言われたらマリサ・トメイがめろめろになってしまっても文句は言えないのである。悲しいである。


モーターサイクル・ダイアリーズ
  GEOレンタル(初見は10年前。2回目), ☆5

数々映画を観ているけど、☆が5個付く映画はそれほどない。「アラビアのロレンス」やスティーブ・マックイーン作品(出来はともかく大ファンとしては5つ付けることにしてる)。そんな中でもこの映画は間違いなく正真正銘の☆5の映画である。
若きチェ・ゲバラとその友人アルベルト・グラナードとの南アメリカをまわるオートバイ放浪旅行を描いた映画。いわゆる青春ロードムービーか。ロバート・レッドフォードが製作総指揮のこの映画はとても真摯に2人の青年の旅を描いている。医学生ゲバラはとてもナイーヴで、それに対して友人のアルベルトは陽気でちょっといい加減だけど気はいい。前半はこの2人の青春ドタバタ旅行記という感じで進むが、後半は南米各地の人々の生活や置かれた状況、医療、政治に対して疑問を呈する。旅を続けるうちに成長していくのだ。
僕たちはチェ・ゲバラの末路を知っているわけで、それを頭に置いて映画観ると青年時代の彼の純真さが心に刺さる。先日、キューバ革命の盟友カストロが90才で亡くなったわけで、それも考えると青春時代というのは、あっという間に消え去る儚いものであるということを思い知るのである。
今、自分の子供たちが青春時代をあがいている。人生は始まったばかりだ。青春時代が等に過ぎ去った僕たちはそのあがいている姿を見るととても心配でもあるが、とても眩しく見える。自分の失ったものを持っている彼らを正視しがたい。ハッキリ言って羨ましい。
若さは誰がなんと言おうと善である。でも、その価値は、若さを失った僕たちこそ、その大事さをわかっている。若さはもはや自分では体験できない。僕らはそれを本や映画を通じて得なければならないのだ。若い時にはできたのに今はできないこと。大人になるってことは、面倒くさいことや理不尽なことに目をつぶるってことだ。せめて、僕たちは精神世界での若さをだけ死守しなくては。それがこの3本の映画を観た感想である。